結論:同じ年式・距離でも、電動車はバッテリーの見せ方で数十万円単位の差が出る。
劣化を数値で示し、保証や整備履歴を束ねて提示すると、提示額は伸びやすい。
まず押さえる基礎
- SOH(State of Health): 新品を100とした健全度の指標。おおむね80台後半を保っていれば印象は良い。
- SOHは車種ごとに取得方法が違う。ディーラー診断レポート、車載メニュー、アプリ連携、OBD計測など、売却前にどの方式で出せるか確認しておく。
- HVは駆動用バッテリーの負荷が比較的平準化されやすく、EVは使用環境の差が大きい。査定では環境情報の開示が効く。
査定で見られるポイント
- バッテリー健全度: SOH値、残容量バー、セルバランス、警告履歴の有無
- 充電習慣と温度管理: 急速比率、満充電常用の有無、真夏真冬の屋外保管状況
- 保証と整備: 駆動用バッテリーのメーカー保証残、延長保証加入、冷却ファン清掃やクーラント交換の履歴
- 付属品: 普通充電ケーブル、充電カード、V2H対応情報、取説一式
上げるための準備
- ディーラーまたは専門店で診断し、SOHやセルバランスのレポートを紙とPDFで用意。アプリ画面のスクショも添える。
- 直近のメンテ項目を整える。HVなら補機バッテリーや冷却ファン清掃、EVならタイヤ・ブレーキの残量、12Vバッテリー電圧確認。
- 充電履歴の開示。自宅普通充電中心、満充電放置を避けていた、急速充電は長距離時のみなど、バッテリーにやさしい使い方を言語化。
- 外装・内装の清潔さは電動車でも効果大。特にコネクタ周りの清掃とケーブル収納を整える。
相場が動く条件
- 強い条件: 走行少なめ、SOH高め、保証残が長い、人気カラー・グレード、ヒートポンプ付きなど実用装備
- 伸びづらい条件: SOH低下や急速多用のログ、冬場の短距離多発で平均電費が悪い、補修歴あり
交渉の型
- まず同一資料パックを全社へ送る。診断レポート、充電履歴の要点、保証残、付属品一覧を統一フォーマットで。
- 入札は同日同条件で一発提示、上位二社のみワンプッシュ再提示。再査定は書面列挙の条件に限定し、バッテリー健全度は提出レポート基準で扱うことを合意しておく。
- ディーラー下取りとも同週で比較し、下取り額と新車値引きの合計で最終判断する。
小さな工夫で差がつく
- 充電ケーブルは純正のケースに収め、端子にキャップ。見栄えと丁寧な扱いが伝わる。
- 家庭用コンセントより200V普通充電器設置歴があれば写真と設置日を添える。過度な急速依存ではない安心材料になる。
- 一部車種はモジュール交換・再生バッテリーの事例がある。該当車種なら情報ソースと費用感を併記し、将来の不安を軽減。
チェックリスト
- SOH/診断レポートを紙とPDFで用意
- 充電履歴の要点を文章化
- 保証残・延長保証の証憑
- 冷却系清掃や点検の履歴
- 付属品一式の有無
- 同日入札の段取りと再査定条件の書面化
まとめ: 電動車の査定は、見た目よりもバッテリーの透明性で決まる。
数値で安心、履歴で再現性、保証で下支え。この三点セットを揃え、同日比較で最高条件に着地しよう。