結論:“価格だけ”なら一括査定が強いことが多い。
ただし、時間・手間・新車値引きの抱き合わせまで含めた“実質手取り”で見ると、下取りが逆転有利になる場面もあります。迷ったら同時並行で見積を取り、数式で比較しましょう。
まずは土俵を揃える(実質手取りの式)
- 一括査定の実質
= 買取金額 −(名義/陸送など自己負担) − 代車・保険の追加費用 - 下取りの実質
= 下取り額 + 新車の追加値引き(下取り有り前提の上乗せ) − 納車までの保有コスト
比較のコツ:**「下取り額+新車値引き」vs「買取額」**を“同日基準”で見比べる。提示日がズレると相場差で判断を誤ります。
一括査定が有利になりやすいケース
- 人気セグメント(軽・ハイブリッド・ミニバン・SUV)で業者間競争が効く
- 輸出・二次流通の需要がある年式/グレード(相場が開きやすい)
- 社外パーツは別評価で買い取りたい(ノーマル戻しでパーツ別売りを検討)
- 現金化を早く、名変/抹消までワンストップで終わらせたい
進め方(入札方式の型)
- 3〜5社を同一時間帯で現車確認(30分刻みの入れ替え)。
- 写真・修理歴・整備記録を全社に同じ条件で提示。
- その場で一発入札→上位2社のみ“ワンプッシュ”再提示。
- 最高額に当日決裁の条件(減額なし・当日振込/翌営業日)を明記。
下取りが逆転するシーン
- 新車の成約競争期(決算月・モデル末期):下取り上乗せ+車両値引きの抱き合わせが入る
- 納車日=乗換え日で段取りが一本化(代車・保険の手配が不要)
- 残クレ/所有権留保が絡むと、ディーラー側の事務処理が早い
- 過走行・色/装備が弱い車で買取競争が伸びないとき
交渉の型
- フレーズ例:「下取り+車両値引きの“合計”で◯◯万円に届くなら即決します。」
- 条件を文書化:下取り減額条件(再査定ライン)と名変期限を契約書に。
実例ミニ試算(判断フレーム)
- 一括査定:122万円(当日振込)
- 下取り:105万円+新車追加値引き12万円=117万円
- ただし、下取りは2か月後引渡しで保有コスト月6,000円×2=1.2万円
→ 実質:一括 122万円 > 下取り 115.8万円 → 一括勝ち
※逆に、ディーラーが「下取り+値引き」で125万円を出すなら下取り勝ち。**“合計でいくらか”**だけを見る。
減額・再査定を防ぐ地ならし
- 告知すべき点:修復歴/交換パネル、警告灯履歴、キズ・凹み、タイヤ溝、スペアキー有無、記録簿。
- 当日コンディション:洗車・車内無臭化、警告灯クリア(単なるセンサー誤作動は入庫確認)。
- 付属品:取説・記録簿・整備明細・純正パーツ・ドラレコ台座の有無を一覧で。
同時並行の段取り(失礼なく両取り)
- ディーラー商談で**“下取り+値引きの合計で比較する”**と宣言。
- 同週内に一括査定の入札日を設定(ディーラー査定は数日前に)。
- 最高額を基準に、ディーラーへ**“合計の上積み”**を最終打診。
- 決めたら即日で契約化(減額条件・名変期限・入金日を明文化)。
チェックリスト(保存版)
- 同日基準で金額比較(相場変動の影響を排除)
- 「下取り額+新車値引き」の合計で交渉
- 一括査定は入札方式+“減額なし”条項
- 修復・キズ・付属品は先に全部言う(減額口実を潰す)
- 引渡し日/名変期限/入金日を契約書に日付で固定
- 迷ったら**“実質手取りが高い方”**を機械的に選ぶ
まとめ
一括査定=競争で額、下取り=段取りの簡便さ+抱き合わせ。
価格は**“合計で何円か”、負担は“いつまでに何をしないで済むか”で、実質手取りを数式で判定。感情ではなく段取りと数字**で、納得の売却に着地させましょう。