結論:**“露出を最大化したいなら一般”“運用を一気通貫で走らせたいなら専任”“売却の時間軸がタイトなら専属専任”**が原則。どれを選んでも、条項(期限・SLA・KPI)が曖昧なら機能しません。
1) 種類と向き不向き(超要約)
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一般媒介:複数社に並行依頼OK。
向き:相場が強い/写真映え良好/短期で反響を拾える物件。デメリットは“誰も本気にならない”リスク。 -
専任媒介:1社に集中。売主は自分で見つけた買主と契約可。
向き:運用を1本化し、写真・文言・A/Bテストを高速化したいとき。 -
専属専任媒介:1社に集中、自己発見でもその会社経由で契約。
向き:期日が決まっている/煩雑な段取りを丸投げしたいケース。
※専任・専属専任はレインズ登録期限・報告頻度が厳格(守らせる仕組みを条文化)。
2) サイン前に“必ず入れる条項”
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レインズ運用:登録完了日/証憑の提示期限、写真・文言・価格変更の反映締切(例:翌営業日)。
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他社客付けSLA:物件確認の当日応答、48時間以内の内見候補提示、週末はオープン枠解放。
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KPIと改定トリガー:問合せ率0.5%未満が2週連続→写真総入替→なお未達なら1.5〜2.5%改定等を文書化。
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活動報告フォーマット:PV/問合せ/内見/競合在庫/次アクションを週次で。
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解約条項:中途解約可/違約なし/請求は実費の明細提示分のみ。
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写真・図面の品質基準:写真20枚以上・家具レイアウト入り間取を必須に。
3) どれを選ぶ?状況別ガイド
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駅近・人気学区・眺望強い:一般で露出最大化→反応が鈍ければ専任へ切替し運用を絞る。
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築古×良管理(説明力が要る):専任で一次情報(長計・履歴・設備年式)を束ね、毎週改善。
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期日が厳守(住み替え・相続整理):専属専任+価格改定トリガーで機械運用。
4) 面談で聞くべき質問(短期で見抜く)
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両手比率/他社客付け比率は?(囲い込み体質の見極め)
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物確の平均応答時間・社内SLAは?
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初動30日の運用計画(サムネ・A/B・改定トリガー)は?
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直近3件の販売レポートを匿名で見せて(実物の品質確認)。
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解約時の費用は“実費の内訳提示”のみでOK?
5) 失敗パターンと回避
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最高査定“だけ”で専属専任に:根拠乏しい強気は後の値下げ要因。→事例×補正ロジックの提示を義務化。
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報告が口頭/感覚:週次レポートの定型がない会社は避ける。
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一般で“誰も動かない”:開始2週でKPI未達なら、専任化+条項強化に即切替。
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解約で揉める:中途解約可・違約なし・実費のみを契約書に書く。
6) 署名日のチェックリスト
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契約種別・期間(原則3か月)
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レインズ登録日・証憑提示日
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物確SLA(当日応答/48hで内見候補)
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週次KPIのフォーマットと送付曜日
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改定トリガー(数値・幅・実行日)
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解約条項(違約なし・実費範囲)
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写真点数・図面品質の基準
まとめ
媒介は“誰に任せるか”より“どう運用させるか”が成果を分けます。
契約種別は物件と事情で選びつつ、レインズ×SLA×KPI×解約条項を最初に紙で固定。
これだけで、露出不足・囲い込み・値下げ連発といった“よくある失敗”の大半は回避できます。