結論:“手取り確定の早さ×二重コスト×リスク”の三軸で方式を決めるのが正解。
感覚ではなく、月次キャッシュフロー表に落として比較しましょう。
1) 三方式のざっくり比較
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先売り(売ってから買う)
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長所:手取りが確定してから次を買える/ローン審査が通りやすい
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短所:仮住まい・二度引越のコストや手間
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後買い(買ってから売る)
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長所:仮住まい不要、理想の物件を逃しにくい
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短所:ダブルローンや保有コストが発生/売却長期化リスク
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つなぎ融資(先買いの頭金を一時借入)
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長所:売却前でも自己資金不足を解消
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短所:金利・手数料が上乗せ。売却遅延で負担が膨らむ
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2) 比較は“式”で
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トータルコスト
=〔利息・手数料(ダブル/つなぎ)+仮住まい費+二度引越費+保有コスト(管理費・税・保険)〕 -
資金ギャップ(最大同時必要額)
= 新居決済までに必要な現金 −(手元資金+つなぎ枠)
→ ギャップがゼロか、数ヶ月のキャッシュショックに耐えられるかが分岐点。
3) タイムラインの型(後戻り防止)
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売却の手取り試算(残債・諸費用・税を含む)
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新居の上限総額(価格+購入諸費用+予備費10%)を設定
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方式の仮決定:先売り/後買い/つなぎ
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金融機関事前相談:ダブルローン可否、返済比率・年収要件、つなぎの上限と金利
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売出・購入の“期日”固定:売買契約に相互の条件条項(引渡時期、融資期限)を入れる
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決済前チェック:配分表・清算金・鍵本数・引越動線を確定
4) 方式別の落とし穴と対策
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先売り:賃貸の原状回復・礼金・仲介料を忘れがち → 仮住まい費の上限を明記し、短期解約違約有無を確認
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後買い:金利上昇や売却長期化で返済比率が悪化 → “内見◯件未達→△%改定”のトリガーで機械運用
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つなぎ:期日遅延で日割利息が積み上がる → 決済日を先にカレンダー固定、売買双方のスケジュールを一本化
5) 実務のチェックリスト
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売却手取りの試算表(残債・諸費用・税)を作成
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新居の“総額上限”と**予備費10%**を確保
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ダブルローン/つなぎの金利・手数料・上限を取得
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仮住まい費・二度引越費を見積(不要ならゼロ計上)
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契約書に期日・相互条件(引渡・融資期限・違約)を明記
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配分表に固定資産税清算・管理清算を反映
6) 迷ったらこの基準
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返済比率がタイト/相場が弱含み → 先売りで安全に
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希少物件を逃したくない/収入に余裕 → 後買い or つなぎ
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金利上昇局面 → ダブルローン期間を最短に、価格改定トリガーを事前合意
まとめ:住み替えは“段取り勝負”。
手取り確定の早さ×二重コスト×リスクを表にして、期日と資金ギャップを先に潰せば、迷わず走り切れます。