結論:感情で即答しない。一次情報→数値根拠→条件付きカウンターの順で処理します。
価格だけで応じると“安く買える物件”の烙印がつき、次の交渉が厳しくなります。
1) まずやる3分診断(揺れないための土台)
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指値の理由を分類:①価格相場 ②室内状態 ③引渡時期 ④資金都合。
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競合との位置:同条件の新規/改定/成約を3件並べ、㎡単価の帯で確認。
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内見ログ:断り理由が価格に集中? それとも匂い・暗さ等の是正可能な要因?
→ “価格以外で解消できるか”を先に判断。
2) 返答テンプレ(そのまま使える)
A. 価格根拠でいなす
「近隣の直近成約(築・駅距離が同等)は〇〇〜〇〇万円/㎡帯。管理資料と是正済み箇所(写真)を加味すると現価格は帯の中心です。価格据え置きで、引渡時期や残置のご希望は調整します。」
B. 条件付きカウンター
「ご希望額は難しいですが、△△万円なら引渡し◯週以内/手付10%/ローン承認◯日以内の条件で合意可能です。」
C. 是正起因への対応
「ご指摘の〇〇は売主負担で是正し、価格は据え置き。是正不要なら**△△万円の調整**も検討します。」
D. 最終ラインの宣言
「ご提示額は受けられません。売主最終は△△万円、有効期限は**◯日◯時**まで。条件は前記のとおりです。」
3) “非価格”のゆずりどころ(カード)
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引渡し時期(前倒し/後ろ倒し)
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残置物の取り扱い(家電・家具の残し)
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是正の範囲(軽微補修・クリーニング)
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手付金の増額/承認期限短縮(確度の担保)
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付帯設備の保証(一定期間の作動確認)
→ 金額より取引確度・スピードを上げる条件で対価交換する。
4) 価格を動かすときの“幅”と見せ方
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一回で分かる幅:1.5〜2.5%(小刻みは“弱さ”に見える)。
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同時に出す資料:長期修繕計画・是正写真・設備年式一覧。**「値引き=不安の代償」ではなく「情報で不安解消」**の姿勢を示す。
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有効期限を必ず付ける(だらだら交渉を防止)。
5) 実務の型(時系列)
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理由把握(相手の根拠を聞き切る)
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一次情報提示(管理・修繕・測量・インフラ)
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非価格カードの提案
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条件付きカウンター(金額+期日+手付)
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期限管理(有効期限・次アクションを明文化)
6) チェックリスト
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指値の理由を価格/状態/時期/資金で分類
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直近競合3件の帯で自分の位置を確認
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非価格カードを3つ用意
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カウンターは金額+条件+期限の三点セット
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記録(メール/議事メモ)で“言った言わない”を防止
まとめ
指値対応は数字と条件設計の仕事。
即答しない→一次情報→非価格カード→条件付きカウンターで主導権を保ち、“安売り”ではなく確度とスピードの取引に着地させましょう。