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ハザードマップの見方|買い手が気にするリスク情報

結論:「どの災害で」「どれくらいの規模で」「家と生活にどう影響するか」を“地図+一次情報+減災策”で説明できると、値引き圧を抑えつつ納得を得やすくなります。


1) まず何を見る?(対象と粒度)

  • 水害:洪水(河川はん濫)、内水(雨水はけきれず浸水)、高潮、津波。

  • 地盤・地震:表層地盤のゆれやすさ、液状化の可能性、活断層の分布。

  • 土砂:土砂災害警戒区域特別警戒区域(急傾斜・崩壊・地すべり)。
    → 自治体/国のハザードマップで住所検索→対象ごとのレイヤーをON。**想定規模(「想定最大」「想定し得る最大級」など)**を必ず確認。


2) 見方のコツ(ズームと基準)

  • 縮尺を変えて二度見る:①広域=河川・谷地形・海抜、②近景=街区・避難所・高台の位置。

  • 色の意味は“深さ×速度”:水害は想定浸水深(例:0.5m/1.0〜2.0mなど)で生活影響が変わる。床上1m超は家財・設備へのダメージが大

  • 線と点も重要:土砂は区域境界線、地震はゆれやすさ区分液状化危険度を重ねる。


3) 買い手が見る“5ポイント”

  1. 想定浸水深と到達:床上か床下か、想定規模で何cm

  2. 避難動線と時間:最寄り指定避難所/避難場所までの徒歩分、夜間・雨天でも行けるか。

  3. 地盤・液状化:地耐力の一次情報(ボーリング、地盤改良履歴)があれば提示。

  4. 建物の耐震・設備高さ:耐震(新耐震/補強)、電気・給湯器の設置高さ、逆流防止や止水板の有無。

  5. 保険・ローンの影響:水災特約の加入可否・保険料感、長期的な維持費の見通し。


4) 売主の“見せ方”——不安を数値で減らす

  • 資料束ね:ハザード図の該当部分だけを印刷(凡例・想定規模付き)+取得日を記載。

  • 一次情報:過去の浸水履歴の有無、排水改修・側溝清掃の実施、管理組合の防災計画(マンション)。

  • 減災策の明文化:止水板・逆流防止弁・屋外機や分電盤のかさ上げ、非常用電源・非常食の備蓄棚。

  • 代替価値の翻訳:リスクはあるが「避難所が徒歩◯分」「高台ルートあり」「建物は耐震補強済」などプラス材料も併記。


5) ハザード別・コメント例(そのまま使える)

  • 洪水・内水:「想定最大規模で0.5〜1.0mの浸水想定。分電盤は1.6mに設置、止水板を玄関・勝手口に常備。最寄り高台の避難場所まで徒歩8分。」

  • 土砂:「警戒区域外/(該当時は)警戒区域内:建物は後退配置・擁壁点検記録あり。避難所徒歩6分。」

  • 津波・高潮:「想定浸水深0.3m未満。避難先の海抜**+◯m**、避難ビル指定あり。」

  • 液状化:「中程度の可能性。基礎形状・地盤改良の有無と施工記録を添付。」


6) 価格と交渉の考え方

  • “黙る”より“先に出す”:後出しは値引き幅が膨らむ。初期から資料提示でディスカウント理由の肥大化を防ぐ。

  • 競合比較:同エリアのハザード条件×価格を並べ、保険・減災費まで含めた総コストで説明。

  • 写真×地図の二面提示:外観・排水・擁壁の“現物写真”と、ハザード図の“根拠”をセットで。


7) チェックリスト(保存版)

  • ハザード図(洪水・内水・土砂・地震・液状化・津波/高潮)を最新取得

  • 想定規模・浸水深を数値で記録/凡例付き

  • 避難所・高台ルートと徒歩分を明記

  • 耐震・設備高さ・止水板など減災策の一覧

  • 過去の浸水履歴・点検記録の有無

  • 保険と維持費(水災特約の方針)を説明


まとめ

ハザードは“怖さ”ではなく事実と対策の情報設計です。

地図(どれくらい)×一次情報(実際どうか)×減災策(どう備えるか)で語れれば、買い手の判断は速くなり、価格のぶれも最小化できます。