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再建築不可・狭小地・変形地の出口戦略

結論:“誰に売るか”を先に決め、用途別の根拠資料を添えて売るのが最短。

ターゲットは①隣地所有者、②投資家(収益化前提)、③設計志向の実需/業者の三本柱です。


1) まずやる現地と法規の棚卸し

  • 接道・道路種別:幅員、42条道路の種別、セットバック要否と面積

  • 私道持分・通行掘削承諾:持分の有無/承諾書の取得可否。

  • 測量・境界:確定測量図・越境の有無。

  • 建物の適法性:建築確認・検査済、増改築の履歴。

  • インフラ:上下水・ガスの引込状況。
    → これらを1ファイルに束ね、役所照会メモと一緒に提示。買い手の不安を先に潰します。


2) 再建築不可の三つの出口

  1. 隣地売り(第一候補)
    隣接地と合筆すれば接道・有効面積が改善。ポスティングや書面提案で**具体図(合筆後の想定配置)**を同封。

  2. 収益化パッケージで投資家へ
    現況リフォーム→賃貸利回りで訴求/トランクルーム・月極駐車場等の転用案。想定賃料・初期費・運営費を表で示す。

  3. 現況売+将来許可の可能性整理
    43条但し書き等の可能性と前提条件を“役所回答メモ”で提示(可否を断定しない)。

※価格は再建築可の相場からのディスカウントを前提に、上記の付加価値(合筆・収益化・資料の厚み)で戻す発想。


3) 狭小地・変形地の“魅力化”

  • 参考プラン×概算コスト:建築士の簡易ボリュームチェック(建ぺい・容積・階数)+概算建築費。

  • 生活導線の翻訳:1F水回り集中/スキップ・ロフト/駐車1台確保の配置図。

  • 写真の主役間口の抜け/天空率の抜け/日照時間帯。変形の“理由ある形”に見せる。


4) 売り先の優先順位と導線

  1. 隣地:最有力。手紙→面談→条件提示(価格・境界の最終線引き)。

  2. 地域の小規模デベ/設計事務所:個別設計の引き出しが多い。図面一式で打診。

  3. 投資家利回り表と**出口(転売/保有)**のシナリオを2本用意。

  4. 一般実需:参考プランと建築費の「天井感」を明示し、**総額(建物込)**で検討できる状態に。


5) 価格設計の型(3本立てで比較)

  • A:現況×実需…近隣相場 −(建築難易度のコスト上振れ)。

  • B:投資家向け…想定賃料−経費から目標利回りで逆算。

  • C:隣地向け合筆後の価値から“隣地にだけ出せる数字”を設定。
    → 三案の手取り比較表を作り、反応が最も良い導線に集中。


6) 契約・表示の注意

  • 現況有姿/契約不適合の範囲を明確化(特に地中・越境)。

  • 私道・承諾書・セットバック条件成就型に(取得不可なら白紙/価格調整)。

  • 役所回答の扱いは“参考情報”として記載し、許可の保証はしない旨を明記。


7) チェックリスト(保存版)

  • 接道・道路種別・セットバック面積を図示

  • 私道持分と通行掘削承諾の可否を整理

  • 確定測量図・越境有無・境界標の状況

  • 参考プラン+概算建築費(狭小・変形)

  • 収益化シミュ(賃料・初期費・運営費)

  • 隣地・業者・投資家の三面営業リスト

  • 契約条項(条件成就/現況有姿)の雛形


まとめ

難条件こそ、資料の厚み×ターゲット設計で勝てます。

隣地・投資家・設計志向の実需へ**別々の“勝ち筋資料を用意し、三案の手取りで意思決定。
法規と境界は一次情報で固め、条件成就の契約設計でリスクを可視化すれば、値崩れを最小限に抑えて出口を作れます。