「返済が苦しい」「延滞が続いて督促が来ている」——そんなときの現実的な出口が任意売却です。
金融機関(債権者)の同意を得て、競売にかけずに市場で売却し、得た代金でローンを精算(不足分は協議)します。
競売より価格が出やすく、引越し費用が確保できる場合もあるのが利点です。
任意売却でできること/できないこと
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できること
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市場価格に近い金額で売れる可能性(競売より手取りが残りやすい)
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抵当権抹消と同時に引越し費用の捻出を交渉(数十万円規模のことも)
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滞納中の管理費・修繕積立金、固定資産税などを配分表に織り込みやすい
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できないこと
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不足分(残債)を自動的にゼロにはできない(債権者と返済条件を協議)
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信用情報の傷は避けられない(延滞・代位弁済の登録は数年残る)
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いつ動く?(タイムライン感覚)
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延滞1〜2か月:リスケ相談 or 早期に任意売却の打診
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保証会社の代位弁済後/競売申立後でも、開札前なら任意売却に切替できるケースは多い
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目安の所要:2〜4か月(関係者調整と販売を同時並行で)
実務フロー(型)
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現状把握:残債・延滞月数、他の差押・税滞納、管理費滞納、物件の相場を整理
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債権者に意向確認:任意売却の同意可能性、引越し費の取り扱い、希望スケジュール
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任意売却に強い仲介へ依頼:査定→販売戦略→写真・図面整備
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買付→配分表作成:売買代金から仲介手数料・抹消費・管理費滞納・税公課等を配分し、残債の扱いを協議
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決済・引渡し:代金受領→完済または一部弁済+抵当権抹消→不足分は分割返済等の合意書で明確化
競売との比較(ざっくり)
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価格:任意売却 > 競売(手取りが残りやすい)
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時間:任意売却は関係者合意次第、競売は手続固定
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生活面:任意売却は転居時期の調整余地がある/競売は制約が大きい
つまずきポイントと対処
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複数の抵当・差押がある:全債権者の同意が必要。配分表の説得力(相場・費目の妥当性)が鍵。
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管理費・修繕積立金の滞納:買主が嫌がるため、配分で清算が基本。
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税金の滞納(差押):優先順位が高く、先に一部弁済が必要なことも。
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居住中の内見対応:週末定例枠を設定し、販売スピードを担保。
よくあるQ&A
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Q. 不足分はどうなる?
A. 多くは**分割返済(無理のない金額)**で合意。将来の収入見込みに応じて緩和交渉も可能。 -
Q. 引越し費は必ず出る?
A. 金融機関の方針・回収見込み次第。早期相談ほど確保余地が広がる。 -
Q. 売却後に住み続けられる?
A. リースバック等で調整可能性はあるが、物件・買主次第。過度な期待は禁物。
まとめ
任意売却は「価格の目減り・生活ダメージ・時間的制約」を最小化するための現実解。
早く相談するほど選択肢は増えます。 残債・滞納・税・管理費を一枚の配分表に落とし、債権者・仲介・買主の合意形成をスムーズに進めましょう。