結論:数字(一次情報)で共通認識を作り、役割・お金・期限を紙で固定するのが最短ルートです。
感情の揺れは前提。だからこそ“事実→合意→文書化”を型どおりに進めます。
1) まず“事実”をそろえる(同じ土台に立つ)
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現在の残債:完済金額(残高+日割利息+繰上手数料の有無)を金融機関で取得
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想定手取り:売却想定価格 −〔仲介手数料・印紙・抹消費用・引越費用・保有コスト〕
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名義とローンの関係:単独債務/連帯債務/連帯保証/ペアローンかを整理
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居住・学区・勤務:売却時期が生活に与える影響(学期区切り等)を言語化
→ ここまでは感情抜きの“帳票仕事”。査定は複数社でレンジ確認、手取りは表計算で共有します。
2) 選択肢を並べ、同じ条件で比べる
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先売り(売ってから住替え)
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後売り(先に片方が住み替え、後で売る/賃貸転用)
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片方が住み続ける(持分買取・借換で単独債務化)
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任意売却(オーバーローン時の最終手段)
それぞれについて手取り・月次負担・期限・リスクを同一フォーマットで比較し、**合意の“理由”**を可視化します。
3) 役割分担とお金のルールを先に決める
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売却準備の担当(写真・内見対応・鍵管理・書類収集)
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費用の分担(クリーニング・軽補修・測量・引越)
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保有コストの負担(管理費・固定資産税・ローン利息の日割・月割)
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売却代金の配分式:
①売価 − ②完済額 − ③売却諸費用 = ④純手取り
④を比率 or 固定額で按分(慰謝・養育費とは切り離して明確化) -
期日:いつまでに契約/引渡し/明渡しを完了させるか
4) 連帯債務・保証の“落とし穴”に先手
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片方が住み続ける場合:もう一方の連帯債務・保証を外せるかを必ず金融機関に事前確認(多くは借換や収入要件の再審査が必要)。
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オーバーローン:売価<残債なら持出資金の確保または任意売却の可否を早期に相談。
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ペアローン:それぞれの債務をどう処理するか(売却で清算/借換で単独化)を明文化。
5) 合意は“紙で固定”——チェックリスト
合意書(可能なら公正証書化)には、最低限この項目を。
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物件の売却方針(価格調整のトリガー、最低受諾価格)
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役割分担(連絡窓口・書類収集・内見対応)
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費用負担(売却諸費用・改善費・引越費・残置撤去費)
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保有コストの分担(管理費・税・ローン利息の起算日と按分)
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売却代金の配分方法(式と入金口座)
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期日(売出・契約・引渡・明渡の各期限)
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連帯債務/保証の解除方針(外せない場合の代替策)
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連絡・合意方法(メール/チャットでの合意可否、決定権の範囲)
6) 運用は“KPIで機械的に”
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初動30日:PV・問合せ・内見率を週次共有、内見◯組未達なら△%改定など数値トリガーで意思決定
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内見導線:片方が居住中なら、内見可能枠を定例化(例:土曜10–12時)して摩擦を減らす
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コミュニケーション:議事メモを共有ファイル化し、“言った言わない”の余地をなくす
7) 子どもと生活の安全弁
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学区や通学動線が変わる場合は引越時期の合意を先に。
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一時的な仮住まい費用や家具家電の取り扱いも表に落とし込み、感情と金銭の話題を分離します。
まとめ
離婚に伴う売却は、感情の議論を“数字と期限”で置き換える作業です。
一次情報で同じ土台に立つ → 選択肢を同条件で比較 → 役割・お金・期限を文書で固定 → KPIで機械運用。
この型を守れば、揉めポイントは最小化でき、予定どおりの手取りに着地しやすくなります。