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古家付き土地は更地化すべき?解体費と販売戦略

結論:“更地化で価格がどれだけ上振れするか”と“更地化に伴うコスト・税負担増”を数字で比較して決めます。

人気エリアで建築需要が強く、接道・形状が良いなら更地化が効きやすい

一方、再建築不可/セットバック大/地中リスク高なら、現況(古家付き)での早期売却が合理的です。


判断フレーム(ROIで可否を決める)

ROI=〔価格の上振れ+販売短縮で浮く保有コスト〕−〔解体・撤去・測量等の総費用+更地化後の税負担増の影響〕 ÷ 解体等総費用

  • 上振れ:更地にすることで買い手層が広がり、相場帯が1レンジ上がるか

  • 短縮効果:更地の方が内見不要・現地判断可で成約までが早いことが多い

  • コスト:解体・整地・ライフライン撤去/切回し・仮囲い・残置物処理・測量/境界確定・地中障害対応(井戸・浄化槽・基礎・埋設物 等)

  • :更地化で住宅用地の特例が外れると、翌年度以降の固定資産税・都市計画税が上がる可能性(跨ぐなら要注意)

目安:ROIが**50%以上(理想80%)**なら前向き、下回るなら現況売却を優先。


更地化が「効く」典型ケース

  • 建築ニーズの強い立地(駅近・整形地・規模帯がニーズの“ど真ん中”)

  • 接道・法規が明快(再建築可/セットバック僅少、建ぺい・容積に余裕)

  • 古家の傷みが大きい/危険空き家で“現況のまま”だと買い手が付きづらい

  • 造成・車両進入が容易で解体コスト・工期の読みが立つ

現況のままが「合理的」なケース

  • 再建築不可/セットバックが大きい(更地にしても活用しにくい)

  • 地中障害・アスベスト等の不確定リスクが高い(見積ブレが大)

  • 細街路・旗竿敷地で重機進入困難(解体費が膨らみやすい)

  • 税負担増を避けたい(年度を跨ぐ見込み/売却まで時間がかかる)


実務の進め方(チェックリスト)

  1. 法規・再建築可否の確認

  • 道路種別・幅員・接道長/建ぺい率・容積率・高度地区

  • セットバック要否/上下水・ガス引込状況

  1. 測量・境界の確定(現況・確定の差は価格に直結)

  • 境界確定測量図/越境・工作物の整理

  • 必要なら地積更正登記で面積を正す

  1. 解体・撤去の見積(3社)

  • 建物構造・延床・前面道路条件・残置量・重機進入可否

  • アスベスト事前調査の対象有無/対応費の含み

  • 地中障害の扱い(見積条件:発見時の上限額・誰負担か)

  1. インフラと敷地整備の範囲を決める

  • ガス栓/桝の処置、上水メーター位置、仮囲い・砕石敷きの有無

  1. 税・スケジュール

  • 更地化の時期と固定資産税特例の扱い

  • 解体→滅失登記→売出までの工程表を作成

  1. 売出条件・契約条項

  • 現況売なら**“現状有姿・契約不適合責任の範囲”**を明記

  • 更地売なら建築条件の有無/参考プラン・想定ボリューム(建築士簡易ボリュームチェック)を用意


表示・訴求のコツ

  • 現況売(古家付き)

    • 「再建築可否」「セットバック量」「前面道路」「ライフライン引込」を一次情報で明記

    • 解体見積の提示(買主の資金計画が立てやすい)

    • リノベ再生の可能性があれば耐震・配管・断熱の課題も率直に

  • 更地売

    • 建築条件なしなら強調。整形度・間口・陽当たりを写真と図面で可視化

    • 参考プラン/配置図/駐車2台確保の可否を添えると検討が進む


迷ったら“二刀流”

  • 二段階提示:まず現況価格で売出し、反応が弱ければ更地化後に再露出

  • 同時見積:現況・更地の手取りシミュレーションを並べ、価格×期間×リスクで意思決定。


まとめ

更地化の是非は感覚ではなく数式で。

再建築可否・境界・接道という“土台”を一次資料で固め、解体総費用+税影響まで含めたROIで判断すれば、手取り最大化への最短ルートが見えてきます。