結論:㎡単価(相場の基準)×面積×「駅距離補正」×「築年数補正」で“いま売れやすい価格帯”を掴むのが実務的です。
係数はエリアで変わるため、「直近成約の一次情報」で必ず裏取りしましょう。
1) 基本フレーム(まずは基準線を決める)
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基準線:同エリア・同規模帯の直近成約の㎡単価
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駅距離の目安(体感インデックス)
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~5分:+10〜15%/6〜10分:±0%(基準)
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11〜15分:−5〜10%/16〜20分:−10〜15%/20分超:−15〜25%
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築年の目安(管理・修繕で振れます)
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〜5年:+5〜10%/6〜10年:±0%
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11〜20年:−5〜15%/21〜30年:−15〜25%/31年〜:−20〜35%
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数字は“仮の出発点”。駅力・学区・坂道や管理品質で上下します。
2) 交差効果の考え方
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駅近でも築古×管理弱だと上振れしづらい。
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駅遠でも築浅×駐車2台×平坦アプローチは下げ幅が縮む。
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マンションは駅距離の弾性が大きい一方、戸建は土地値が下支えしやすい。
3) 簡易試算の型(サンプル)
基準:㎡単価80万円/70㎡=5,600万円を“10分×築10年”と仮定。
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駅12分(−8%)×築20年(−10%)
5,600万円 × 0.92 = 5,152万円 → × 0.90 = 4,636.8万円(約4,637万円) -
駅5分(+12%)×築5年(+5%)
5,600万円 × 1.12 = 6,272万円 → × 1.05 = 6,585.6万円(約6,586万円)
→ まずは“幅”を掴み、直近成約3〜5件で係数の妥当性を検証します。
4) 読み違いを防ぐチェック
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地形:同じ徒歩分でも坂・階段・信号待ちで体感差。
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交通:バス便は本数・始発終発まで確認。
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建物要素:エレベーター無し/配管更新履歴/耐震や長期修繕計画の有無。
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生活価値:スーパー・医療・保育の徒歩分数、騒音・日照の時間帯コメント。
5) マンションと戸建の違い(要点)
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マンション:駅距離×築の影響が直撃。管理資料の厚みでディスカウント圧力を抑制。
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戸建:駅距離の影響は駐車・前面道路・方位で緩和。境界確定・耐震・雨漏り/シロアリの一次資料が価格を支える。
6) 進め方(型)
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直近成約の収集:駅距離と築をマトリクス化して**㎡単価の帯**を見る。
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机上査定×複数社:係数の仮説を出してもらい、**根拠(事例と補正ロジック)**で比較。
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訪問査定で補正:眺望・日照・静粛・管理/修繕履歴で上振れ/下振れを確定。
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初動30日をKPI運用:PV/内見/改定トリガーで**“動く勇気”を前提化**。
まとめ
「築年×駅距離」は相場の“方眼紙”。
まずは係数で幅を出し、直近成約で裏取り、現地要素で微修正の三段構えで、“売れやすい価格帯”をブレなく決めましょう。