結論:“写真に効く最小限の手当て”を優先し、大規模リフォームは原則やらないが基本。
判断は感覚ではなく、回収率(ROI)で決めます。
判断のものさし(超シンプル版)
ROI=(価格の上振れ+販売期間短縮で浮くコスト − リフォーム費)÷ リフォーム費
→ 80%以上なら前向き、50%未満は見送りが目安。上振れ根拠は近隣成約事例+担当者の訪問査定で確認。
効きやすい「最小コスト」の手当て
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徹底ハウスクリーニング(水回り・窓・鏡の“点光源”が命)
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クロスの部分張替え/補修(黄ばみ・剥がれの“視線の引っ掛かり”除去)
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床のワックス/簡易補修(光の反射で写真の印象UP)
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照明の交換(昼白色へ統一、暗部にスタンドを追加)
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水栓・シャワーヘッド交換(小コストで“清潔感”演出)
→ いずれも写真1〜3枚目の説得力を上げ、内見率を底上げできます。
やり過ぎNG(回収しづらい代表例)
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キッチン・浴室の総入れ替え:好みが強く、買主が自分でやりたい領域。
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全面リフォーム/間取り変更:費用が重く、価格の上振れが追いつきにくい。
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高額な造作収納:サイズ・デザインが刺さらないと逆効果。
マンションと戸建の違い
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マンション:室内の美装・清潔感の最大化に集中。管理の良さ(長期修繕計画・積立水準)を資料で可視化すると価格維持に効く。
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戸建:屋根・外壁・雨漏り・シロアリなど致命傷は先に手当て or 正直に開示。境界確定・設備点検で“安心”を担保。
数字で見るミニ試算(例)
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想定成約:3,800万円
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案A:軽微手当て20万円 → 写真映えで**+30万円の上振れ、販売1か月短縮で保有コスト5万円**削減
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ROI=(30+5−20)÷20=75% → やる価値あり(境界)
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案B:水回り交換100万円 → 上振れ120万円、短縮5万円
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ROI=(120+5−100)÷100=25% → 見送り
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案C:全面内装300万円 → 上振れ250万円、短縮10万円
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ROI=(250+10−300)÷300=−13% → NG
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※“上振れ見込み”は近隣の成約単価×差異補正で必ず裏取りを。
進め方の型
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訪問査定で“上振れの種”を特定(採光・眺望・管理・匂い・傷み)。
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改善メニューを小→中→大で3案作り、見積を2〜3社比較。
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ビフォー/アフターの撮影計画を先に決める(サムネ用1枚は必須)。
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保証・瑕疵の扱い(施工保証・設備保証書)をファイル化して内見時に提示。
チェックリスト(実行前)
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上振れ根拠(事例×補正)が言語化できている
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ROIが50%以上(目標80%)
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写真1〜3枚目で効果が見える改善か
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工期・騒音・臭気の販売への悪影響を最小化できるか
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施工後の保証書・型番記録を渡せる体制か
まとめ
“映える”最小限の整備=内見数を増やす投資。
大きな工事ほど回収は難しいため、小さく試算→写真で効く箇所に集中が正解です。
数字(ROI)で判断し、費用ではなく手取り最大化の視点で選びましょう。