結論から言うと、「需要が強い時期」×「競合が少ない瞬間」×「金利・審査の追い風」の掛け算で決めるのが合理的です。
次の3軸を押さえれば“いつ出すか”の判断がぶれません。
1. 需要(買い手の動き)を見る
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季節性:一般に春(2〜4月)と秋(9〜11月)は内見が増えやすい一方、真夏と年末年始は鈍い傾向。家族層は新年度・学区の切り替えを意識するため春の意思決定が速い。投資用は金利や賃料動向で通年分散。
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直近の反応指標:ポータルの閲覧数/問い合わせ数、週ごとの内見件数。面談時に「エリア別の直近2〜4週の内見トレンド」を担当者に出してもらうと、机上の季節論より当てになります。
2. 供給(競合在庫)を読む
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同条件の新規掲載が多い週は埋もれやすい。とくに築年・駅距離・専有面積が近い“ど真ん中競合”が増えたら、1〜2週間の先出しか、写真・間取り・文言で差別化を。
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価格改定の履歴も重要。近隣で値下げが連発している相場は、出し値を慎重に。逆に短期成約が続く局面では強気テストが効きます。
3. 金融環境(金利・審査)を織り込む
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住宅ローン金利が上がるほど買い手の借入可能額は目減り。目安として35年返済で金利が年0.1%上がると、借入可能額は約1.6%減。強気の価格設定は通りにくくなります。
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逆に審査姿勢が緩む/優遇が広がる局面では、買い手の予算上限が広がるため初動の反響が取りやすい。
タイプ別の「出すべきタイミング」
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駅近・人気学区・眺望良好など競争優位が強い物件
→ 春・秋の“人が動く季節”に早めに露出して比較で勝つ。写真と初動KPIの運用で短期勝負。 -
課題を抱える物件(騒音・日照・修繕履歴が弱い等)
→ 競合が薄い時期を狙う。真夏・年末は内見は減るが、比較対象が少ないため刺さる買い手に決まりやすいことも。 -
住み替え(先売り/後買い)
→ 金利上昇局面は先売り優先で期間リスクを圧縮。下落局面は後買いの交渉力が増すため、売出をやや早めて手取りの確度を高める。
90日運用の型(実例)
1〜2週:準備(点検・軽微な補修・写真撮影・資料整備)
3〜4週:掲載開始。PV・問合せ・内見率を週次で把握。
5〜8週:内見導線の改善(時間帯/同線の重複回避)、文言・サムネ更新。
8週時点:内見◯件未達なら△%改定など“数値トリガー”で価格調整。
9〜12週:競合の価格改定や新規出稿に合わせ再露出(おすすめ表示・写真差し替え等)。
迷ったらこの順で判断
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直近4週の内見トレンドは上向きか
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ど真ん中競合の在庫は厚いか薄いか
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金利・審査は追い風か向かい風か
→ 2つ以上が追い風なら出す。半々なら写真・文言を磨いたうえで、競合が動く1週前に先出し。向かい風が強いなら準備(小修繕・情報整備)に回し、次の波で一気に出す。
まとめ:ベストタイミングは“年の何月”ではなく、直近の需要・供給・金融を重ね合わせた“今この瞬間の条件で決まります。
数字で状況を可視化し、90日運用の型で初動を走り切りましょう。