同じ「売却」でも、仲介と買取ではゴールまでの道が別物です。
結論から言うと、価格の最大化を狙うなら仲介、確実性とスピードを重視するなら買取が基本軸。ただし物件や事情によって最適解は変わります。
仕組みの違い(ざっくり)
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仲介:不動産会社が“買主を見つける”方式。市場(ポータル、ネットワーク)に載せ、内見~交渉~契約。
特徴:市場競争で高値を狙える/時間は読みにくい/内見・整備の手間あり。 -
買取:不動産会社(業者)が“直接買う”。広告・内見を省略し、短期で契約~現金化。
特徴:早い・確実/価格は抑え目(リスク・再販コストを織込み)。
金額差の目安
一般的に、**業者買取は仲介成約想定より低め(概ね1~2割程度下振れが出やすい)**傾向。築古や権利関係が複雑、工事リスクが高い場合は差が大きくなりがちです。逆に駅近・流通良好など“すぐ売れる素地”がある物件は、仲介での上振れ余地が大きいことが多いです。
こんなときは仲介向き
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駅近・人気エリア・間取りや眺望など競争優位がある
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残債をなるべく圧縮したい/手取りの最大化を最重視
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引渡しまで2~3か月程度の余裕がある
こんなときは買取向き
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期日が決まっている(転勤・住み替え・相続整理・離婚等)
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室内状態や境界、増改築の適法性など課題が多く、内見対応が負担
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空室化コストや二重ローンを避けたい/確実に現金化したい
中間の選択肢
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買取保証:一定期間は仲介で高値を狙い、売れなければ事前提示の価格で買取。
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即時買取+リースバック:売却後も賃貸で住み続ける方式。資金化と居住の両立が可能。
実務の進め方(失敗しない手順)
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相場の基点を作る:複数社の机上→訪問査定で「仲介ならいくらで売れそうか」を可視化。
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買取の同時見積:同条件で買取提示を取り、手取りで横並び比較する。
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仲介手数料、リフォーム・ハウスクリーニング費、固定資産税清算、引越費用、空室化の損失、ダブルローン利息等を反映。
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時間と確実性を金額に換算:売却までの想定期間×コスト(利息・家賃・管理費等)を見積もり、“待つコスト”と価格差の天秤で判断。
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条件交渉の工夫
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仲介:初動30日のKPI(PV・内見・改定トリガー)を取り決め、写真・文言を毎週改善。
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買取:契約~決済までの期日、瑕疵担保の取り扱い、残置物・原状の範囲を明確に。
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注意点(落とし穴)
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最高提示だけで即決しない:根拠の薄い強気数字は、後の値下げや長期化の温床。
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買取の“楽さ”に隠れた差額:短期現金化のメリットと、手取りの差を冷静に比較。
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引渡条件の曖昧さ:残置物、設備不具合、越境・境界、告知事項は書面で確定。
まとめ
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価格最大化=仲介/確実性・スピード=買取が基本。
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判断は「手取り」「時間」「リスク」の三軸で。まずは仲介の成約想定価格を把握し、買取の実勢提示と合わせて金額×期日×手間で総合比較しましょう。