結論から言うと、机上査定の段階で±5%前後のブレに収まれば“相場が見えている”状態です。
8〜10%を超えて散る場合は、事例選定や補正の仕方、受注目的の“強気提示”が混じっていないか、根拠の確認が必要になります。
なぜブレるのか
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事例の選び方・鮮度:直近成約か、古い売出事例か。
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在庫(競合物件)の読み:周辺に強い競合が多い/少ないで想定が変わる。
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補正ロジックの違い:駅距離・築年・階数・方角などの差をどう数値化したか。
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担当者の戦略:受注優先で強気に寄せるか、成約重視で現実的に出すか。
ミニ実例(数字は仮例)
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例1:都内・築15年・駅8分・70㎡マンション
A社4,100万/B社3,950万/C社4,250万 → 中央値4,100万。
上下差は**約±3.7%**で、机上としては妥当な収まり。 -
例2:条件は同じ
A社3,800万/B社4,400万/C社4,150万 → 中央値4,150万。
下側−8.4%、上側+6.0%と計14%超の拡散。この場合は
(1)採用事例の時期が古い(相場上昇/下落の取りこぼし)、
(2)駅距離や眺望の補正が甘い、
(3)受注狙いの“映え数字”が紛れている、等を疑って根拠を要チェック。
許容範囲の目安
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机上査定:±5%前後に収まればOK。
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訪問査定後:室内・眺望・管理状態が反映され、±3%程度に収斂するのが理想。
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10%超の差:事例の質や補正、販売方針の違いが大きいサイン。理由を確認して選別。
比較時に“必ず見る”チェックポイント
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直近6〜12か月の“成約事例”中心か(売出事例だけはNG)。
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補正の透明性(駅1分=何万円、築1年=何万円など、計算根拠が説明できるか)。
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販売中在庫の分析(自宅が“優位/劣位”のどちらに立つのか)。
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マイナス要素の扱い(騒音・眺望・管理履歴を数値で織り込んでいるか)。
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価格運用の計画(初動30日のPV/内見KPI、改定トリガーの設定があるか)。
実務の進め方(型)
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机上査定を3〜5社:中央値(メディアン)と許容幅を把握。
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訪問査定を2〜3社:上振れ要素(眺望・日照・管理品質・リフォーム)を実地で反映。
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売出価格は“中央値〜上位の少し上”(+1〜2%)でテスト出しし、初動2週間のデータで微調整。
よくある落とし穴
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最高額だけで業者を選ぶと、後で値下げ前提の運用になりがち。
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買取価格と仲介査定を混同しない(確実性と金額は別物)。
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単一社の数字で決め打ちせず、複数社の根拠を“並べて”比較する。
まとめ:複数社の数字は“ばらつくもの”。重要なのは中央値とその理由を掴み、ブレの根拠を言語化できるかどうかです。
まずは机上査定を複数社に出して“自宅の相場レンジ”を数字で把握し、訪問査定で上振れ余地を見極めていきましょう。