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配偶者との離婚や死別などによってひとりで子供を養育しなければいけない、いわゆる「シングルマザー」が増えてきています。
30年ほど前と比べると約1.5倍まで増加していると言われています。
シングルマザーの世帯は、基本的に母子手当を受給していますが、それでも貧困状態であるケースがかなり多かったりします。
シングルマザーの貧困率50%を超える日本は、先進国の中で最も経済的に厳しい国であると言えるのです。
この記事では、そんな「シングルマザーの経済的不安」について解説していきたいと思います。
シングルマザーの収入
シングルマザーの家庭は、なぜこれほどまでに経済的貧困に陥りやすいのでしょうか?
考えられる要因を挙げてみましょう。
収入自体が少ない
シンプルに、「働き手が1人しかいない」というのは、世帯収入が低い大きな要因だと言えるでしょう。
7割近い家庭で共働きとなっている現代では、女性1人の収入で暮らしていくというだけで他の世帯よりもかなり収入が低くなってしまいます。
厚生労働省の調査によると、母子家庭の平均年収は「243万円」となっています。
全世帯の平均年収が「433万円」、平均世帯年収は「552万円」なので、いかにシングルマザーの世帯の収入が低いかがわかります。
正社員で働くことができないケースが多い
「働き手が少ないならば頑張って多く働けばいい」と思う人もいるかもしれませんが、そうもいかないのがシングルマザーの辛いところです。
自分の親(子供からすれば祖父や祖母)と同居をしていたり、何かあってもすぐに対応できるくらい近場に住んでいる環境であれば正社員として働くことも可能です。
しかし、多くのシングルマザーは、賃貸アパートなどで1人で子供を養育しながら働いています。
子供が風邪を引けば仕事を休み看病しなければなりませんし、夏休みといった学校の長期連休でも学童に預けられない日は休みを取らなければなりません。
中学生くらいの子供であれば正社員として働くこともできるようになりますが、子供が幼児や小学校低学年の内はなかなか難しいというのが現実です。
シングルマザーは、正社員として働かない(働く能力がない)ということではなく、「正社員として働きたいけど働けない」というのが真実なのです。
国や自治体からの手当てがまだまだ少ない
シングルマザーの貧困は、かなり前から問題となっていましたが、改善されるどころか悪化の一途を辿っています。
国や自治体からの手当ては存在するものの、現実にはその手当と仕事での収入だけでは貧困から抜け出せないというのが現実です。
日本では、0歳~15歳の児童が対象となる「児童手当」や、離婚などによって父または母からしか養育が受けられない児童へのて当てである「児童扶養手当」、18歳までの児童を養育するひとり親家庭に支給される「児童育成手当」などの手当てが存在します。
他にも、各自治体では「住宅手当」が支給されることもあります。
しかし、そのすべてを合わせたとしても、5~6万円程度(多子世帯であればもう少し金額は多くなる)であるケースが多かったりします。
年間収入においてはまだまだ貧困から抜け出せる状態にまではならないことがほとんどなのです。
養育費がもらえないケースが多い
シングルマザーになる原因の約8割は「離婚」です。
離婚でシングルマザーとなった場合には、離婚相手である父方から「養育費」を受け取る権利が生じます。
しかし、実際に離婚した父方から定期的に養育費を受け取っている家庭は約25%程度しかなく、途中で養育費の支払いが止まったり、そもそも最初から養育費の支払いがなかったというケースが半数以上に上るのです。
これは、「相手と関わりたくない」という思いや、「支払う能力がない」「支払う意思がない」といったことが原因であると考えられます。
意外と知られていないシングルマザーの減免、割引き制度
前述したように、シングルマザーの収入が低くなってしまうにはいくつかの理由があるわけです。
今後は母子家庭であっても安心して働ける新たな仕組みを作ったり、児童手当や母子手当の増額などが期待されるわけですが、実は今現在も様々な減免制度や割引き精度があったりするのです。
大きな金額でははありませんが、そういった制度を利用することで貧困状態を少しだけでも軽減させることができるはずです。
所得税や住民税の減免制度
納税者本人が寡婦の場合は、寡婦控除が受けられます。
寡婦とは、離婚や死別している女性のことを指します。
住民税から26万円、所得税から27万円を控除することができるようになります。
国民年金や国民健康保険の免除
所得が少なく、保険料を納めることが困難な場合には、「本人の申請により」保険料が全額、または半額免除する制度があります。
本人から申請しなければならないので、対象者であるにもかかわらず気が付かずに暮らしているシングルマザーも多かったりします。
交通機関の割引精度
母子家庭(父子家庭)には、交通機関の割引制度もあります。
児童扶養手当(母子手当)を受給している世帯では、JRの定期乗車券が3割引きで購入できるのです。
さらに、公営バスの料金も無料もしくは割引となるケースもあります。
まとめ
今回は、「シングルマザーの経済的不安」について解説してきました。
母子手当などの制度はあるものの、正社員として働ける環境でなかったり、養育費の支払いがないなどの理由によって貧困に陥るシングルマザーの世帯は非常に多くなってしまっています。
ここで挙げた減免制度や割引制度の他にも、上下水道の減免制度や保育料の免除や減額なども可能であるケースがあるので、ぜひそれらの制度をフル活用して貧困を軽減させていきましょう。