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皆さんは「80-50問題」というものをご存じでしょうか?
これは、80代の親世代が50代の子供世代の生活の面倒を見るという一見すると考えられない問題です。
「そんなこと滅多にないでしょ」と思う人も多いかもしれませんが、実はその数は驚くほど多いのです。
しかし、人間の寿命は男女ともに平均80歳台ですから、80代の親世代が数年以内に亡くなるという可能性もかなり高いと言えます。
そうなった時に残った50代が生活ができず、生活保護の受給者になってしまう可能性が高いのです。
この記事では、そんな「生活保護予備軍とも言える中高年のひきこもり問題」について解説していきたいと思います。
中高齢者のひきこもりは非常に多い
40歳~64歳のひきこもり人口は、60万人を超えると言われています。
40代や50代前半であればまだかろうじて社会復帰できる可能性はありますが、50代後半以降となるとなかなか難しいというのが現実です。
また、そのうちの半数以上がひきこもり状態になってから7年以上も経過していると考えられています。
その下の世代を含めると、100万人以上の人がひきこもり状態に陥っていると言われているのです。
2020年代に入り生活保護受給世帯は160万人程度で推移していますが、このひきこもり層(特に40歳~64歳)が近い将来そのまま生活保護受給者になる可能性は極めて高いと言えます。
ひきこもりの定義
一般的な社会人にはにわかには信じられない40代~64歳のひきこもりですが、その定義を挙げてみましょう。
- 趣味や用事の時だけ外出する
- 近所のコンビニなどには出掛ける
- 自室からは出るが家からは出ない
- 自室からほとんど出ない
このいずれかに該当し、それが6ヶ月以上続く場合には、ひきこもりと判断できます。
10年ほど前までは40歳以上の引きこもりは全体の10%ほどでしたが、現在では30%を超えるほど増えてきているのです。
なぜ中高年のひきこもりが起きる?
40代、50代というと、まさに働き盛りの後半とも言え、スキルや経験を活かして脂の乗った良い仕事ができる年代です。
しかし、前述した通りこの最も良い仕事ができる年代にひきこもりになってしまう人がとても多いのです。
その理由としては、以下のようなことが考えられます。
- 退職をきっかけにひきこもる
- 人間関係の悪化
- 病気や怪我
- 職場に馴染めない
- 就職活動が上手くいかない
また、十分な大人であるにもかかわらずひきこもりになっているという現状を恥ずかしく思い、周囲に相談できないという高齢者も多いため、社会復帰のきっかけも少ないという現実もあります。
そして、就業支援など35歳以下の支援は多かったりしますが、中高年者への支援はかなり少ない傾向にあります。
このように、一度ひきこもり状態に陥るとなかなか社会復帰できないということは大きな問題だと言えるでしょう。
引きこもりは長期化する可能性が高く必然的に今後生活保護受給者はさらに増加していく
2020年頃から、新型コロナウイルスの影響で貧困に陥る人が増え、生活保護の申請を行っている人も必然的に急増しました。
しかし、財源の捻出などの問題もあり生活保護申請は年々厳しくなってきているのが現状です。
すでに多くの人が「生活保護を受給しなければならない状況であるにもかかわらず受給ができない」という状況に陥っているのです。
前述した通り、40歳~64歳のひきこもり人口は、60万人を超えています。
ひきこもりは長期化することがほとんどで、特に40代以降のひきこもり者が社会復帰するのはかなり難しいでしょう。
そう考えれば、60万人という中高年のひきこもり者のほとんどはそのまま生活保護者にスライドする可能性は高いのです。
日本人の寿命はかなり延びていますから、近い将来200万人以上の生活保護者となる可能性は極めて高いと言えます。
もしくは、受給すべき貧困者の生活保護申請がさらに通りにくくなり、それほど生活保護者の人数は増加しない(数字には表れない貧困者が溢れかえる)という可能性もありえるでしょう。
若年層やシングルマザーの貧困も進み財源はさらに少なくなっていく
少子化の影響で今後現役世代はさらに減少していきます。
若年層やシングルマザーなどはすでにかなりの比率が貧困となっています。
こういった現状から、5年後、10年後の未来はさらに厳しいものとなっていると予測できます。
社会的に雇用環境が改善されていくことはもちろん、ひきこもりの親御さん世代が「抱え込まない」ということや、「面倒を見ようと思わない」という意識に変化させることも重要だと言えるでしょう。
まとめ
今回は、「生活保護予備軍とも言える中高年のひきこもり問題」について解説してきました。
40歳~64歳のひきこもり人口は、60万人を超えていて、その多くが今後生活保護にスライドしてしまう可能性が高いと言えます。
しかし、生活保護自体も財源の問題等もあるので、生活保護申請をしても受給できないといったケースも増えてしまう可能性もあります。
社会や親世代、そして当人の意識の変化が求められると言えるでしょう。