結論:売れやすさ=「標準化 × 情報の透明性 × 買い手の母数」で決まります。
-
マンションはスペックが標準化され比較しやすく、買い手母数も多いためスピードが出やすい。
-
戸建は個別性が高く、法規・敷地条件・建物状態で評価が大きく振れるぶん、整備と情報開示の質で勝敗が分かれます。
1) 需要と価格の見え方
-
マンション:駅距離・面積・築年で**㎡単価比較**がしやすく、相場の“基準線”が明瞭。初動30日でPV/内見のKPIが読める。
-
戸建:前面道路幅員、接道方位、セットバック要否、近隣用途地域、建物状態など個別要素の影響が大。現地体験(動線・光・風・匂い)が決め手になりやすい。
2) 書類で“売れやすさ”を上げるポイント
-
マンション
-
長期修繕計画・修繕履歴/直近の大規模修繕の有無
-
管理費・修繕積立金の水準と妥当性(将来の値上げ見通し含む)
-
駐車場・駐輪場の空き状況、共用部の維持状態
-
耐震基準適合証明の可否(住宅ローン控除等の論点)
-
-
戸建
-
建築確認済証/検査済証、増改築の適法性資料
-
境界確定測量図、越境の有無、前面道路の幅員・再建築可否
-
建物状況調査(インスペクション)、耐震診断、シロアリ・雨漏り点検結果
-
既存住宅売買瑕疵保険の付保可否
-
書類の厚み=買い手の不安軽減。金融機関の審査も通りやすくなり、破談リスクを下げます。
3) 内見で効かせる“見せ場”
-
マンション:採光・眺望・静粛性(上下左右の生活音)、共用部の清潔さ、エントランス動線。
-
戸建:敷地と建物の関係(庭・駐車導線・外構)、南側の抜け、通風、近隣との距離感。夕方と昼の光の差もコメントで補足。
4) 価格運用の違い(初動の型)
-
マンション:ど真ん中競合に対し写真・情報量で優位を作り、価格は**同等〜+1%**でテスト。2週ごとにサムネ・文言を更新、**1〜2%**の微改定で反応を追う。
-
戸建:競合在庫が薄いタイミングを狙い、測量・軽補修を先行。改定は**2〜3%**の“分かる幅”で一発、内見導線も同時に改善。
5) ありがちな失敗と回避
-
マンション:「管理費・積立金が高い」だけの説明で終える
→ 積立水準の妥当性、長期修繕計画、過去の実施履歴を提示して将来負担を数値化。 -
戸建:境界未確定・再建築可否の確認が後回し
→ 売出前に確定し、図面・役所回答をファイル化。終盤の破談を防ぐ。
6) 売れやすさミニ診断
-
マンション:駅徒歩10分以内/角・高層/大規模修繕直後/管理評価◎/駐車1台以上空き → 早期成約の素地。
-
戸建:南側接道6m前後/駐車2台可/境界確定済/屋根外壁に劣化少/耐震性の裏付けあり → 価格維持がしやすい。
まとめ
-
マンションは「相場×情報の厚み」で勝つ。
-
戸建は「法規・境界・建物状態の“爆弾”除去+現地体験設計」で勝つ。
売出前の資料整備と導線設計で“売れやすさ”は後からでも高められます。数字(KPI)と一次情報で、ブレない運用を。