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新型コロナの影響で、日本国内のうつ状態の人の割合が2倍以上になっています。
これは経済協力開発機構(OECD)のメンタルヘルスに関する国税調査で判明した事実です。
うつ病状態に陥れば、正常に仕事をこなすこともできなくなり、傷病手当金などを受給し何とか生活をしていくことになってしまいます。
しかし、中には求職中にうつ病に陥り傷病手当金の受給ができない人なども存在し、一気に貧困に陥ってしまうケースもあります。
そんな時に頼れる制度が、「生活保護」です。
この記事では、そんな「うつ病で生活保護を受給する上での注意点」について解説していきたいと思います。
うつ病でも生活保護は受給できるの?
結論から先に言えば、うつ病でも生活保護を受給することが可能です。
日本国憲法第25条では、「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあります。
これは当然うつ病を患っている人も含まれているわけですから、生活保護の受給は可能となります。
しかし、うつ病者が生活保護を受給するには、それを証明する書類が必要となります。
うつ状態になっていると自覚したら(もしくは他者に「うつ病なのでは?」と指摘されたら)、すぐにでも精神科を受診しましょう。
実際にうつ病になっていて、「私はうつ病です」と公言したところで、証明することができなければ意味がありません。
生活保護を受給しようと思ったならば、「医療要否意見書」が必要になります。
生活保護の受給には条件がある
うつ病でも生活保護が受給できることが分かると、安心してしまいますが、実はそう簡単に受給することはできません。
「え?なんで?最低限の生活ができないのに?」と驚いてしまうかもしれませんが、それが生活保護を取り巻く現実なのです。
生活保護を受給するには、いくつかの条件をクリアしなければなりません。
- 地域が定める最低生活費に満たないこと
- やむを得ない事情で働けない
この2つの条件は、うつ病で働けないことが証明できればクリアできますよね。
- 身内に援助してくれる人がいない
- 生活保護以外の公的支援を受けてもなお生活が困難
- 土地や建物、車などの資産を持っていない
この3つの条件をクリアするのは、なかなか難しかったりします。
うつ病患者がコロナの影響で大幅に増加していたり、収入が激減している人が増え、生活保護を申請する人が非常に多くなっているにもかかわらず生活保護の受給者数がそれほど多くならないのは、この3つの条件をクリアするのがかなり難しいからなのです。
コロナ関係では、「緊急小口資金等の特例貸付」や、「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」の活用を促されて結局生活保護が受給できなかったという人も多いようです。
また、失業保険や労災保険、障害年金、老齢年金などの公的支援の活用鵜を促されます。
そして、援助してもらえるような身内がいないという条件も、クリアできない人は多かったりします。
そう考えると、うつ病で働けなくなったからといって容易に生活保護が受給できるわけではないということが分かります。
生活保護を受けることでできなくなること
もしも順調に生活保護の申請が通り、生活保護を受給できるようになったとしても、以下のようなデメリットが生じてしまいます。
- 自宅や車といった資産になるようなものが所有できない
(住んでいる地域が車での移動が必須であったり、住んでいる住宅の資産価値が非常に低い場合は除外される) - 生活保護を受けている期間は貯金ができない
- お金の使い方に制限がかかる
- ローンを組むことができない
- クレジットカードが作れない
こういった制限が掛かるのは、かなり精神的に辛いものです。
うつ病が軽減されれば生活保護の受給ができなくなる可能性がある
うつ病が軽減していくと、「就労可能」と診断されてしまい生活保護の受給ができなくなってしまう可能性もあります。
軽減したといっても、そこから就職活動をして安定した生活を手に入れるまでには時間も労力も必要となるわけですから、かなりシビアな現実が待っています。
ケースワーカーは、定期的に病院に問い合わせをして、就労が可能な状態か確認する、いわゆる「調査」をすることが可能となっています。
要するに、「うつ病が治っている(軽減している)のに生活保護を受給すること」はできないシステムとなっているのです。
まとめ
今回は、「うつ病で生活保護を受給する上での注意点」について解説してきました。
うつ病でも生活保護を受給することが可能ですが、それにはいくつもの条件をクリアする必要があります。
また、もしも受給できたとしても、「できなくなること」がいくつも出てきてしまいます。
もちろん、うつ状態が悪化すれば生活保護の申請をするべきですが、「受給できなかった時の選択肢」も考えておく必要があるとも言えるでしょう。